人を理解しなければならないと言ったら、義務感で接していたのかと激昂された話

 
タイトルには若干語弊がある。
記憶を頼りにしているため、正確ではない部分があり、非常に主観的な書き方をしています。
 
 
半年くらい会っていなかった。わりとぐいぐいパーソナルスペースにつっこんでくる人だったのでそんなに得意ではなかったし、好いてもいなかったけれど、誘われてしまったし、たまに飲むのを悪くないかと思ってついていったのだった。
 
 
待ち合わせると、すでに会社の人たちと飲んできた、と出来上がっている顔でそういった。
何が食べたいといわれたので、肉が食いたいというはなしになり、近くの餃子の美味い居酒屋へ行く。
 
始めは当たり障りのない話を進めていた。
今日はこのまま接待モード話をつづけて、一時間くらいで解散できるようにしたいなあと考えていた。
途中で話の流れが変わったのはいつだっただろうか。
 
自分が、仕事を辞めて本当に幸せになったという話をした。
1人で自由に時間を使えること、ストレスがなくなったので本当に時間ができて気分がいいんです。
 
そういうと相手は、
「正直言って全然理解できない」
と返された。
 
相手:「なんでそれがストレスがなくなるわけ?できるだけ忙しいほうがいいじゃん。仕事もずっとしていたいし、人から頼られたいから。だから時間があることがいいこととは全く思わないんだよね」
 
切り返す。
16診断って知ってます? その項目の中で、内向型と外向型の判断があるんですけど、僕は内向型の比率が100%でした。つまり外向型は0%です。
すべての事柄が自分に向かっているんです。
だから僕は人と接することは得意ではないですし、仕事なら仕方がないけれど、プライベートならあまり人に頼りたくないんです。分け隔てなく頼られたいわけでもないです。
1人になれる時間があるのなら1人になって引きこもって本読んだり勉強したりするほうが好きなんです。
でも僕は、他人を理解したいという感情が強いので人の話を聞くことがすごく好きです。
なので人と話をすることができるんです。これはとても利己的な考え方なのですが……
 
相手:「どうして理解したいの?」
 
わかりません、たぶん欲求みたいなものだと思います。
例えば、これは昔の話ですが、このランチに700円かけるくらいなら文庫本買うわ、みたいな精神の時期が長かったんです。
飯くって金が減るくらいなら、本か何かを買って読みたい。僕は睡眠欲とか食欲に加えてなにかコンテンツを食べないと生きていけない。テンションも下がるし、自然と体調も悪くなる。いい物語を読むと本当に気分がいいし、たのしくなるから。
当時はまだ極端なコミュ障で、人と話をすることができなかったのであれなんですけれど。
 
相手:「なんでそうなの?」
 
こっちが知りたいです。
 
相手:「なんでもっとそれについて考えないの?」
 
考えた結果、そういうもんだと思っています。
 
相手:「なんであきらめるの?」
 
あきらめたというか、別にそれで構わないと思っていますし、
これはただの取捨選択です。時間に限りがあるのですから、ある程度考えた結果、区切りをつける、見限るというのは必要だと思います。
あとは、例えですけど、生理現象ならしかたなくないですか?
 
相手:「たぶんさあ、人のためになりたいんだよね?」
 
(ん?)
すみません、どういう意味ですか?
 
相手:「だからさあ、そうやって本読んだりいろいろしたことを、周りの人に伝えたいんでしょ?」
 
えっと…… いや、完全に自己満です。勉強したいことがあるので勉強しているだけです。
 
相手:「じゃあ何のために勉強してるの?」
 
なんででしょうね。
たぶんしたいからだと思います。もちろん仕事として必要なこともありますし、まず好奇心だと思います。表紙を見て気になったり、タイトルに惹かれたり、何となく必要だと思ったり、知らないこと知ることは普通に楽しくないですか?
 
相手:「なんなの? それは人の為だよね?」
 
いえ、したいことをしているだけなので人の為という明確な目的を持っているわけではないですね。
 
相手:「でも、例えばさあ、それを人に教えたいわけでしょ?」
 
(教えたい??)
いえ、別に教えたいから勉強をしているわけではないです。
 
相手:「じゃあほんとに何で勉強しているわけ?」
 
だからやりたいからやっているだけなんですよ。特に理由はないです。
 
相手:「じゃあさあ、目の前で人が困ってて、それを教えことができる場合教える?」
 
まあ、そうですね…… 聞かれれば教えると思います。
 
相手:「でしょ? じゃあ人のために勉強してるよね?」
 
だからそういうわけでは……
 
相手:「なんでそこを中途半端にするわけ!?」
 
(中途半端とは???)
中途半端にしているつもりはないですよ。
そういう人間だと思っているだけですし、そこまで他人の為になりたいと思って生きていないです。結果的に役にたつかもしれませんけれど。
 
相手:「そういう人間って…… なんでそこをちゃんとはっきり解決しようとしないの?」
 
(中途半端は明文化しろという意味か?)
うーん、それは、白黒はっきりさせる必要性がないと感じているからだとおもいます。
 
相手:「そこをさあ、はっきりしないとダメなんだと思うんだよね。それにもっとポジティブにならないと駄目だよ! だってさあ、目標って大事でしょ? なんかこう、許せないんだよね、ちゃんと考えろよって思っちゃう」
 
それって、答えをすぐに出さないといけないことなんですか?
 
相手:「だってそれ、考えることをあきらめてるんでしょ?」
 
……だから、たぶんそれが他人を理解したいってことに帰結すると思うんですよ。
例えばなんですけど、知らない人がいて、なにをしたら友達になりますか?
 
相手:「話をしたら友達でしょ」
 
だと思いました。でもそれって人によっては異なってくるじゃないですか、例えば一緒に飲んだくらいなら知り合い、連絡先交換したら友達とか、さしで飲んだら友達とか、家にいれたらとか、しいて言えば友達というカテゴリはないみたいな人もいて、個人の差異は多様だと思うんですよ。そういう些細な違いから相容れられる人間と相容れることができない人間が出てくるわけです。それを理解したい、というか、理解しなければならないと思っているんです。
 
相手:「それはしなければいけないことなの?」
 
僕はそう思っています。努めているつもりです。そこまで意識しないと僕は他人のことが何もわからないですし確実に心無いことを言ってしまうからです。
過去にあった経験なんですけれど、大学の友達で、こんな言い方をするのもあれなのですが、こう俗にいうメンヘラになってしまった人がいたんですよ、仕事の環境で。
で、どうやらいろんな人に話を聞いてもらいたいと、構ってほしいと電話をしているわけだったのですが、僕にも電話が来たわけです。話をするとまあネガティブですし、環境は大変だし、同じような話は繰り返すしでまあ正直聞くに堪えないわけです。耐えましたが。
でも、僕まで電話が回ってくるなんてそうとうなことですよ。いろいろな人に電話してうんざりされてでなくなってしまったんでしょうね。
確かに大変だなと思ったんですけれど、ここで俺がでなかったらどうする、最終的にはけ口とかなくなってしまうかもしれん、というか本当に死にかねない、という状況がひしひしと伝わってきたんですよ。だからたとえ俺以外の人間が全員拒絶したとしても、俺だけは絶対にあきらめちゃいけないなと、そう思ったんです。
その友達は恩を返さないといけないことがあって、だから何かできるんじゃないかと思って、その子からくる電話は全部出ました。
その時は、1人で作業するバイトだったのでいつでも電話に出ることができたんですね。
最終的に週6で一日4時間以上電話してました。
基本、夜に電話がかかってきて、友達が寝落ちして寝息が聞こえたら電話を切るという生活でした。向こうが本当に大変なときは、昼休憩や、トイレに逃げ込んで電話してくるときもありました。
 
相手:「すごいね、そんな大変なことがあったんだね。私はたぶん無理だと思う」
 
僕もいま思うとよくやったなと思っています。
でも理解するってこういうことだと思うんですよ。
 
例えば、知らない道行く人に挨拶をするとします。
でもその人から挨拶を返されることはありませんでした。
普通の人はむっとするかもしれないけれど、僕はそれでも構わないんですよ。
挨拶を返すというのは、礼儀みたいな道徳的な観念であって、返さなければいけない絶対的なルールではないからです。
それは聞こえなかったかもしれないし、返事をしたくなかったかもしれないし、急に話しかけられてびっくりして返すことができなかったのかもしれない。実は知り合いで僕のことが嫌いだったのかもしれない。
僕は、礼儀がなっていない、とかそんな理由で他人を批判したくないし、拒絶をしたいわけではないんです。
そういう人間がいる、というのをひたすら理解したいんです。
それだけでは相手の背景は何もわからないし、自分の考えを押し付けているだけに他ならないからです。それだけで相手を判断するのはおこがましいのではないかと思ってしまうんです。
だから相手の考えを理解したい、しなければならないと思っているんです。
だから道徳的に嫌な人も、どこかしらでマイノリティを抱えている人も理解していかないといけないんですよ。
なにかを発信するとき、話し手と聞き手がいると思いますが、理解するには個人的には9割話す側に責任があると感じています。だからこそ自分が聞き手に立った際、理解しなければと思っています。
 
相手:「ひとつききたいんだけどさ、私にも理解しなければいけないと思っているわけ?」
 
基本的に分け隔てはありません。ほとんどの人に対してですね。
 
相手:「なんでそんなことになってんの?」
 
わからないからです。何一つわからないからです。
 
相手:「あのさ、わかる? 私いまめっちゃむかついてるんだよね。いままで私に対して、理解しなければならないっていう義務感で接していたってこと? なんで!? なんでそんなことしないといけないの!?」
 
……いろいろ考えた結果、そういう人間なんだと落ち着きました。
 
相手:「はあ? だからそうやってあきらめんのか? もっと考えろよ! だめだ、本当に切れた。義務感で接してたなんて最低だ」
 
そういって相手は勘定といい、足早に帰ってしまった。
 

正直この流れが全然理解できなくて本当に参ってしまった。
わからない。完全に訳がわからなかった。
 
地球上の全員と仲良くなりたい、と思う人を嫌いな人が存在するので、全員とは仲良くなれない、とは有名な話だが、それでも、それでもおれは誠実に対応したかった。理解に努めることが相手の尊重になると思っていた。
 
でも、相手にとってはそうでなかった。
なにも考えず気さくに接するべきだったのだろうか。最初の予定通りおべっかで、よいしょして、この場が終えることを目指すべきだったのだろうか。
 
人間関係が大変だ、というけれど、人間関係以外大変なことがない、と思わざるを得ない日だった。